TOEICと英検の違い
世間一般では就職活動、転職、昇給・昇格試験時などに英語力を測るための方法として、TOEICやTOEFLなどが使われています。
では、昔から存在している英検はビジネスの場では役には立たないのでしょうか?
私は英検の方がビジネスをする上で必要になる基本的な英語力が身につくと考えています。
TOEICと英検の違いを比較してみましょう。
[英検とTOEICスコアの換算] ※あくまで目安です
英検 | 受験レベルの目安 | TOEICの点数 |
---|---|---|
1級 | 大学上級程度 | 900点~ |
準1級 | 大学中級程度 | 700~800点 |
2級 | 高校卒業程度 | 500~600点 |
準2級 | 高校中級程度 | 400~500点 |
3級 | 中学卒業程度 | 300~400点 |
4級 | 中学中級程度 | 300~400点 |
5級 | 中学初級程度 | ~300点 |
TOEICはスコアですが、英検は一生使える資格です。
そのため、もちろん履歴書に書くこともできます。
それぞれTOEICと英検のメリットを書いてみました。
・世間の認知度が高い
・およそ1回/月のペースで開催しているので受験しやすい
・スコアが出力されるので、自分の能力が分析できる
・有効期限があるわけではなく、一生使える資格である
・ビジネススキルに特化した総合的な力が身につく
あたりでしょうか。
結論としては、どちらも良いところがあるので状況に応じて使い分けるのが効果的です。
例えば、面接を受けるときはTOEICのスコアを前面に出して英語力をアピールして、実務で英語を使うときは英検で身につけた内容を使うなどです。
それでは、TOEICと英検の違いについて細かく見ていきましょう。
TOEICだけで英語力は身につくのか?
就職、転職活動などで有効なTOEICですが、これだけにとらわれていると実は落とし穴があります。
それは、ビジネスの現場で活用できる英語力が完全に養われるわけではないということです。
確かにTOEICはリスニングとリーディングがスコアという数値で出力されるため、当然数値が高い方が読む聴くの能力は高いと言えます。
しかしTOEICで出てくる内容で、ビジネスの場で使用する英語を全て網羅できるというわけではないです。
営業、コンサルティング、経理などの職種の違いや、メーカー、通信など業界が違えば必要となる語彙も変わってきますし、その場によって読む・聞く・書く・話すを使用する比率も変わってきます。
TOEICでもこれらの4技能(読む・聞く・書く・話す)を養うことはできますが、
一般的に受験されているのはTOEIC L&Rであり、TOEIC S&Wまで受験している人は少ないです。
そのため、どうしても書く・話すというアウトプット能力に欠けてしまう状況になりがちです。
身近にもTOEIC 900点取ったけどペラペラ話すことができない、という人は意外に多いのではないでしょうか。
また、TOEICには他の落とし穴もあります。
それは、ある程度形式が決まっている試験なので、対策(テクニック)によって点数を上げることもできてしまうということです。
TOEICは、短い時間の中で多くの情報の中から必要な情報を検索する能力が求められるので、正直全ての文章を読む必要はなく正解が導き出せればそれで点数UPにはなります。
なので、たとえ英語の意味が分かっていなくても、消去法や情報検索能力を高めることで対策はできてしまいます。
そのため一概に、TOEICで高得点 = 真の英語力が身につくとは言えません。
もちろん英語力があった方が有利に決まっていますが、TOEICの高得点の理由が自分の地力から来ているのかテクニックからきているのかは判別が難しいです。
あくまでTOEICのスコアは自分の英語の理解力を示す目安だと思っていた方がよいです。
英検はどんな試験なのか
では、英検はどんな試験なのでしょうか。
一言で言うと、4技能(読む・聞く・書く・話す)が全て必要になる総合的な試験です。
世間一般では学生向けの試験と思われていることが多いですが、最近ではビジネススキルの一つとして評価されています。
TOEIC L&R、TOEIC S&Wというように分かれているわけではなく、一つの試験の中で語彙問題、リスニング、長文読解、記述問題、面接でのスピーキング(二次試験)の全てが含まれています。
英検は2級までは比較的受けやすい試験と言えますが、準1級以降は難易度が上がってきます。
まず使用される語彙が難しくなっていくので、土台となる単語力は身につけていかないと対応ができなくなります。
また、政治・経済・科学といった一般知識に関する長文が出題されるため、そういった背景知識も必要となります。
語彙力、背景知識と文章を読んで推測される内容を論理的に結び付けるような思考力も求められます。
上記のうちどれが欠けても合格の可能性は下がってしまうため、総合的な英語力が必要となってきます。
正直ボリュームは多いですが、ビジネスの現場で必要な英語を養うという観点からは最適と言えるのではないでしょうか。
特に英検準1級以降を持っていれば、わかる人はかなり評価してくれます。
TOEICよりも英検の方が英語力を測る確かな尺度になるので。
英検の勉強方法
どんな試験でもそうですが、一番効果的な対策は過去問を解くことです。
実際に出題された問題を解くことで、傾向などがわかり理にかなった対策ができるからです。
なので、ベースは過去問を解くというところに重点を置くと良いです。
そこから自分の苦手分野を把握して個別に対策していくのがスマートな勉強方法と言えます。
[英検2級の過去問]
ただし英検はTOEICとは異なる試験なので、各分野ごとに別で対策はしていった方がよいです。
簡単に書いていきます。
・語彙力
級ごとに専用の英単語帳があるので、それを使って学習しましょう。
基本的にはどれを使っても問題ありません。
英検は語彙力が重要になる試験ですので、ここはポイントです。
以下に、級ごとに必要な単語数の目安を書きます。
必要な単語数の目安 | |
---|---|
1級 | 1万語前後 |
準1級 | 7000語前後 |
2級 | 4000語前後 |
準2級 | 2700語前後 |
3級 | 1200語程度 |
4級 | 700語程度 |
5級 | 400語程度 |
・長文読解
過去問をもとにどんな内容の文章が出題されるかを把握して、苦手だと感じる分野については背景知識も増やしつつ、問題集で英文読解力を補っていきましょう。
・リスニング
英語でニュースを聴いたり、海外ドラマなどで英語を聴く習慣をつけるとよいです。
毎月発行されるようなリスニング教材を使うのもよいでしょう。
・スピーキング
普段話す機会があればよいですが、そういった環境がなければオンライン英会話などで話す練習をするのもおすすめです。
英検は総合的な英語力が必要になってくるので、普段から英語に触れるような機会を増やすことが大事です。
資格よりも目的を重視しましょう
TOEICや英検はあくまで資格試験となります。
なので、それ自体が目的ではありません。
何のために英語を学習しているかは人によって変わると思いますが、重要な点は自分が何を目指すかということです。
資格はその目的を達成するための手助けとなる補助的なものにすぎません。
自分が何をしたいのか、そのためにはどういう能力が必要なのか、今自分に欠けているものは何なのかを把握した上でどういった試験を受けるかを決めていくようにした方がよいです。
・ビジネスの現場で使える英語力を養う → 英検
・海外旅行先でのコミュニケーション力をつける → オンライン英会話
といった感じにです。
あくまで一つの例にすぎませんが、試験それ自体に万能なものはなく自分の目的に沿って有効活用することで100%の効果を発揮すると理解しておいてください。
・今英語を勉強しているのは何のためですか?
・それを身につけたら、どのようにその力を活用したいですか?
基本的なことかもしれませんが、原点に振り返ることで自分の行動に意味付けができ、モチベーションアップにもつながります。
これを機会に今一度自分の状況を見直してみるのもよいのではないでしょうか。
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